スピルバーグのVR映画「レディ・プレイヤー1 」制作の裏側
映画を元にしたVRコンテンツを制作したり、メイキング映像でバーチャルリアリティがどう使われたのかを紹介したりもしました。
大規模な映画がCGIに依存する割合が増している中、映画制作者は、想像の世界を描写する最適な方法を模索してきました。 Fxguideによると、スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作「レディ・プレイヤー1」の180分の内約90分は、完全にコンピュータで生成された世界とキャラクターによって構成されています。
映画の大部分がCGIで成り立っているので、スピルバーグや他のスタッフは一般消費者向けのVRヘッドセットを使って簡単にバーチャル世界を覗く事ができました。監督、俳優、スタッフ一同が最終的にCG合成される映像を元にして、演技や撮影画角、セットデザインの調整ができました。HTCによる以下のメイキング映像から撮影現場の様子が伺えます。
Fxguideの記事には「レディ・プレイヤー1」の制作過程が詳細に解説されています。劇中の “Oasis”と呼ばれる仮想世界は、インダストリアル・ライト&マジック社が制作し、デジタル・ドメイン社が現実世界部分のモーションキャプチャとビジュアルエフェクトを担当しました。バーチャルプロダクションについてのスピルバーグ監督の解説を紹介します。
“Oasis”内のシーンは全てCGで作成されており、私はアバターを使ってバーチャル空間を歩き回ってセットを見ることができました。それぞれのシークエンスをどう撮影するか、私の中でイメージが固まったら俳優陣にゴーグルをかけてもらってどんな環境なのかを見てもらいました。
俳優は何もないただの白い部屋で演技をしなくてはいけないので、合成されるCGのイメージを確認してもらわないと最終的にどんな空間になるのか想像することはとても難しいです。VRヘッドセットを装着することで、CGを想像ではなく実際に見ることができました。
また、モーションキャプチャースーパーバイザーのクリント・スピラー氏が開発したバーチャルカメラをスピルバーグ監督が使ってカメラアングルを検討しました。スピラー氏はバーチャルカメラについて、「ボタン一つでレンズの交換や視点の変更ができる、世界一いかしたカメラだ」と語ります。
「レディ・プレイヤー1」の撮影現場で使用されたのはHTC Viveだけではありませんでした。デジタル・ドメイン社のスタッフによると、「Oculus Rift、HTC Vive、HoloLensが制作の別々の工程で使用されました。モーションキャプチャーの現場ではRift、バーチャル世界での “ロケハン”にはVive、実際のセットでの撮影ではHoloLensを使用しました」。
想像と現実の境界を無くしてしまうのが映画のすごさであり楽しみですが、正にその目的で現在急成長中のVR製品が使用されました。今後、バーチャルリアリティーの進歩が映画を、そしてエンターテイメント全体を形成していくのでしょうか。
References:
https://www.roadtovr.com/ready-player-one-behind-the-scenes-shows-how-spielberg-used-vr-in-production/
https://www.fxguide.com/featured/ready-player-one-inside-the-oasis
https://www.imdb.com/title/tt1677720/