Blade Runner 2049|世界一の撮影監督のワザ
ロジャー・ディーキンスのテクニック満載の一作
ロジャー・ディーキンスは世界で最も敬愛される撮影監督の一人です。2016年までに13回もアカデミー撮影賞にノミネートされましたが、毎年受賞を逃してきました。しかしついに今年、『Blade Runner 2049』でオスカーを勝ち得ました。ディーキンスが撮影を手がけた名作は、『007 スカイフォール』、『ジェシー・ジェームズの暗殺』、『ショーシャンクの空に』、そしてコーエン兄弟のほぼ全作品等、枚挙にいとまがありません。
彼の技術と才能が光る次の例では、ジョイを演じるアナ・デ・アルマスの顔は、画面右側が明るく照らされ、画面左側は影に包まれています。反対に背景は、左側は明るく、右側は暗くデザインされています。このコントラストが視聴者の視線をジョイの顔に引き付け、その表情に映る感情に意識を集中させるのです。
また、ジョイはホログラムのキャラクターですが、このシーンでは肉体を与えられた『実物』として存在します。キャラクターと取り巻く環境をはっきりと区別し、ジョイの輪郭を明確に描き出す照明デザイは、映画のテーマを表現する目的も果たしています。
ディーキンスが撮影監督として頻繁に用いる代表的なテクニックの一つは、照明を物語の中に組み込み、画面デザインの要素として使用する事です。『Blade Runner 2049』では、シーン中に登場するネオンライトや、看板、ホログラムが終始画面を照らし、無数のデザイン要素となっています。
ジョイのホログラムが発するピンクの光や、アパート窓から差し込む看板の緑の照明等、主人公“K”は多様な光の中を行き来します。
『Blade Runner 2049』のどのシーンにも、鮮明な照明を提供する独特な光源が仕掛けられています。全編を通して、ディーキンスのテクニックを次々に楽める作品になっています。
References:
http://www.imdb.com/title/tt1856101/
https://www.moviemaker.com/archives/news/how-roger-deakins-creates-a-visual-landscape/